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ちょっと京都へ

なんとなく私、今まで関西・京都方面にはご縁がなくて、旅することがほとんどありませんでした。
なぜかここに来て、私に京都が来ています。
(正しくは、私が京都に行く、のですけれども)

思っていた以上に京都駅周辺がスッキリしている。
確かに観光客が沸き返っているけれど、どうせ私が好んで行く所は、ちょっとひねてますしね。
ここに回っているもの、続いているもの、全てにちゃんとした意味がある。
歩いているだけで「あぁ、そうか」と気づかされることがいっぱいある場所。それが私の京都の第一印象。

「これぞ茶花の仕立て!」と膝を打つような仕立ての茶の木があったのは、松花堂庭園。
椿もたくさんの品種が植え込まれています。流石にまだほころんではいなかったけれど、名札に書いてある名前を見ただけで「うわ、実物がここにある…」と、どきどき。

なんで今まで旅しなかったんでしょうね、京都。

たまたま宿から徒歩10分のお寺が、紅葉のライトアップの名所であったり。


長らく探しあぐねていた切り出しが、あっけなく見つかったり。即決で1本。
職人さんが気さくで素敵な人で、お喋りしながら仕上げてくださいました。


てっきり本店は東京だと思っていた超有名な茶寮で、あべかわ餅を喉に詰まらせそうになっていたり。
この佇まいに対して、空気感に対して、高いの安いの言ってはいけない(笑)
ただただ心地良い場を作るために、どれだけのことがなされてきたのかと、しみじみしながら頂く一服の幸せなこと。

大人になりました、私も。

帰り間際になって、刃物や重量感ある羊羹やらはすべて宅配便で送って、いざ帰路につく私の肩には、なぜかこのロマネスクハープ。


巡りめぐって鹿児島に暮らす私の元へと、期限の決まらぬままの貸与となりました。主から「遠慮せずに弾いてね」と言われましても、私は笛の人。
ロマネスクハープの時代を調べたところ、楽譜なんてない時代の曲が似合うという、どうしたらいいのか分からないけど、なんだか素敵な出自の楽器ではありませんか。

「5度を意識してね」のアドヴァイスに反応して、さっそく5度を爪弾いてみたところ「おぉ〜それっぽい!」と、私の大好きなハーモニーが美しく響いてくれました。
詳しくはないけれど、聴くジャンルとしては密かにルネサンス音楽好きなので、それよりももっと古い時代のあたりだということ。
…かな?

こうなったらもう「ちゃんとした音楽」を演奏しようなんて、思うのも無理。
ふわふわと、好きな音を楽しむためのハープが、私のところにやって来てくれたことを素直に喜ぼう。

託してくれた主にまた再会したときに、「もうちょっとだけ、ヒントをちょうだい!」と言えばいいよね。

ちょっと遅い時間に笛を吹くのは憚られるけれど、適当に弾いているハープの音色は、隣室の相方にも「いいねぇ」と好反応。
ふふふ。

ちょっと気軽に、身軽に、私はどこへでも旅をする。
今回は旅のお供に、京都から素敵な音を連れて帰って来ましたよ、というお話でした。