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自分の花を

人生なんてそんなに毎日がアクティブでなくてもいい、ひっそり暮らしましょうよ、と思いながら生きている私は、冬という季節がいちばん過ごしやすく、自分に合っている気がします。

にぎやかな草花が姿を消し、我が藪庭に落葉樹のシルエットが姿を表す頃になると、ぽつぽつと集めてきた白椿が静かにほころび始めます。

写真の椿は、京都の骨董市から連れてきた「白卜伴」。
鹿児島ではお目にかかったことのない白椿です。

それにしても、今年は笑って激走の日々でした。
疲れを感じる暇さえないほどに、私に似合わずはきはきと、元気に動き回っていた気がします。
関わる人もいっぱい増えて、しかもそのほとんどが年下であるという現実に、「ついにこんな状況が来たか!」の気分でした。
仲間や仕事を守り貫くために、言いたくもない強い言葉を発したり、間違っているところを真っ直ぐ突き刺すように指摘したり、いじわるなことも言いました。それでいちいちへこたれてしまって、見かねた友人から「それはいじわるじゃないよ、あなたの役割だよ」と励まされて泣きそうにもなりました。

もし、自分の選んだ職業が商業デザイナーでなかったとしたら、私はかなり偏屈で人付き合いの苦手な、厄介な人になっていた可能性が大きいと思われます。(今でも変な人ではあると自覚しています…)
働かないとご飯が食べられない、自分の手で稼ぐのだ、という育ってきた環境のおかげで、私は人様と関わり合いながらお仕事をし、アイディアを生み出し、ものを作って生きることを身につけてきました。
とはいえ会社員ではなく、一人自営業の仕事ですから、自分のコンディションを守るためにも「やりたくないことはやらない」「必要以上に人と出会わない」という自分勝手な仕事ぶりが可能でした。

それなのにここに来て、まさか、自分の会社を経営しつつ、別の会社の役員になるなんて…。
他に社員がいる会社って、どんな感じだったっけ? なぜ私なのかはよくわかんないけど、「会社という組織にこんな人(私)がいてもいい」と思って頂けたのだということにして、気張らずに行こう! と、ようやく気持ちが落ち着いてきた年末です。

一人ひとりがすくすくと、自分らしく好きな花を咲かせている。
きれいに同じ高さで並んでいる花壇のようではなく、野鳥が集まってくるような雑木林の森がいい。
景色も、人も、そういうことなのかもしれない。

ヒマワリ、朝顔、コスモス、チューリップ、すみれ、野菊、菜の花、れんげ草。
冬だというのににぎやかに咲きこぼれる愛らしい花々に囲まれて、白椿っぽい人はちょっとまだ、ドギマギしているところです。