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春を満たすもの

なるべくいつも通りに、自分の暮らしを続けること。
世間のざわめきにも慌てず騒がず、今日も身の回りのことを楽しみながら、お仕事をして暮らしています。
今年の音楽企画もスケジュールが出揃ってきたので、続々と合わせが始まり、体調を崩している場合ではないのです。

さて、2月の終わりの頃に、大阪へ出かける用事がありました。
半日ほど時間が空いたので、「服部緑地」にある「都市緑地植物園」を訪ねてみました。一番のお目当ては約450種1300本の椿が確認されているという「椿山」です。


写真やネットで見るのと違って、実物はその質感や色合いで大きく印象が変わります。たくさんの品種をひとつひとつ自分のペースで眺めながら、好きな椿の名前を控えて回りました。
この優しい姿は「呼子鳥」。
初めて知った、今までノーマークだった名前です。


かつて花見といえば梅だったとか。
写真では分かりづらいのですが、広々とした梅の下でお弁当を広げる人たちもたくさんいて、桜よりも梅のお花見のほうが、春の到来を静かに楽しむ気配に満ちていました。
上品な梅の木の下では、大声で喋ったり、どんちゃんしたりする気持ちにはなれないのかもしれません。


品種としては、豊後梅がたくさん植えられていました。
ぽってりした蕾と花をつける、凛々しいというよりも愛らしい印象の梅です。
杏と梅の交雑種とも言われていて、ちゃんと実をつけてくれます(我が藪庭の豊後梅はまだ若いので、ようやくいくつか実り始めたところ)。

そして、我が藪庭にもまた新しい椿が入りました!
赤の深みと白の斑の入りかげん、蕊の様子が気に入って求めました。

ただ、難を言えば、その名前が「紅白美人」って…ねぇ。
どうしてそんなにコテコテなんでしょうね…と、ちょっと残念。
大人の気配を感じさせる色気のある花に一目惚れしてしまったので、新幹線で出かけた先から、手荷物で提げて帰ってきました(笑)
まぁまぁ大きな苗でした…。




ひとつくらい、こんな存在感のある椿があってもいいかな、と。

油断していると勝手になだれ込んでくる情報をシャットダウンして、静かな雨の3月1日、日曜日。
チェロを背負った方が来てくださって、初めてのバロックの曲をリコーダーと合わせて楽しんで過ごしました。なんて心豊かな日曜日。

自分の目に入るもの、耳に聞こえるもの。
心地いいものだけで満たしたいと思う、この春です。