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あらもう21年目ですって。

食にまつわるお仕事をしていると、日常的に美味しいものとの接点が増えます。
新茶の季節にはちゃんと新茶がやってきて、それによく合うものを用意して企画を立てたりとか、写真を撮ったりとか。
撮影した後はそのまま美味しくいただくとか。

こういうものの見方、切り取り方は、「寄りの感覚」を意識しています。
自分の暮らしの中にあるとても細やかな幸せを感じるような、そんな感覚です。

他方で、「引きの感覚」を大切にしなければならない仕事も多くあります。

自分の目の前の事だけを作っているのではなくて、全体の景色を眺めるようにと言いますか、これから先のことを考えながら「時間をかけて育ちながら馴染んでゆくだろうな」という気持ちで臨まなければならない仕事もあります。

バタバタと目の前の仕事をこなしながらも、どこか「寄りで作りつつ、実は引きを見ている」というのもありますね。

この春で当社(そう、こんなんでも法人なのです)創業21年目に入りまして、ここまで長くやってきていると、技術的な流行り廃りとか、デザインがイケてるとか、もうそんな個人的なやった感(?)はどうでもいいんです。

日々やってきた裏方仕事がその場に馴染んでくれているか、その企業が真っ当に儲かってくれているとか、お客様のいい評判が聞こえるとか、それが何よりもだいじなことで。

そんな開き直りとも取れる感覚を持ちながらも、先がまったく読めないこれからをどう豊かに重ねてゆくか…私自身の中に学び、たくわえてゆくか…。研ぎ澄ました仕事でお返しできるのか。

悩ましきこのご時世に、自問自答の21年目です。
相変わらず呑気そうな言葉や写真をここに綴って参りますが、どうぞ今後ともご贔屓いただけますよう、よろしくお願い申し上げます。