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ヴィオラ・ダ・ガンバ

今年、2021年の4月で、私のリコーダー生活は11年目に入りました。
ド・レ・ミから音を出し、4小節の楽譜も読めないところから始まって、いつの間にか音楽の世界にどっぷりとハマってしまいました。
今では時折コンサートも企画しますし、頼れる仲間も一緒で、もう音楽のない生活は考えられなくなりました。

最初で最後の私の音楽の先生から、早い時期に「他の楽器には手を出さないほうがいいですよ」とやんわり釘を差されたこともあり、10年ずっとリコーダー(笛の範疇に入るものも少しは吹く程度に止めて)に集中してきました。
今思えば、リコーダーで深められること、学べること、人との出会い…リコーダーだったからこそ取り組めたことがたくさんあったことを思い知りました。
やはり何事も浮気はいけませんね(笑)

そして、いよいよ弦楽器を始めたいという思いが、突然むくっと湧きました。
ここはやはり…ヴィオラ・ダ・ガンバの一択でしょう。
10年という節目に思い切って決意表明をしたら、先生からも「よし、いいね! 楽しみだね!」のお言葉。
勢い余って「ヴィオラ・ダ・ガンバを始めようと思うんです」と、ドイツの音楽家さんへぽろりとこぼした瞬間から、一気に物事が動き始めました。

これはその時に届いたお見合い写真。
偶然にも一台、完成品があったのです。

そして、6月1日、本当に私にとって初めての弦楽器のパートナーが、ベルリンからやってきました。ベルリンの博物館に所蔵されているバラック・ノーマンモデル、6弦のバス・ガンバです。

製作者のJosef Huberさん初の海外への送り出し、もちろん私も生まれて初めての弦楽器輸入で、周囲を巻き込んでのやり取り(てんやわんや)が続きました。

私は、嬉しい気持ちいっぱいでありながら、その更に上を行く不安が山積で「それはいわゆるマリッジブルーですね〜!」と音楽仲間から微笑まれた時には、なるほど納得!の心境でした。

弓もJosefさんが作ってくださって、中から1本、合うものを。
とても贅沢なことだと思います。

多くの手続きを経て税関をクリアし、箱を開けたら弦が切れることもなく、大きなキズもなく、ロールペーパーにホールドされたガンバくんが出てきました。

思わず笑ってしまった、蓋を開けた瞬間!
掘ったらガンバくんが出てきます。

いま、届いてそろそろ3週間になります。
日本はどっぷりと梅雨、湿度もすごい(笑)
ごめんよ、ガンバくん。

人間のためではなくこの繊細な楽器のために、湿度計を眺めながら、エアコンの調整をして一緒に過ごす毎日です。
私はすべての楽器を仕事部屋に置いているので、職場環境がより快適になりました。

他のヴィオラ・ダ・ガンバが周囲にはないので、比較することも出来ませんが、とてもおおらかな音を響かせてくれます。
神経質ではなく、ちょっと呑気で、朗らかな性格な気がします。

残念なことに、楽しみにしてくださっていた先生に、この音色を聴いていただくことは叶いませんでした。「また来週ね」と言葉をかわしたレッスンから数日後、突然のお別れでした。

初めて取り組む楽器へのアプローチ、曲の選び方と練習の始め方。
体調とメンタルの整え方。
怒られたこともありました。

とにかくゆっくりゆっくり。
たどたどしいくらいに、一音を丁寧にたどり続けなさい。

10年もの間、毎週休むことなく続いたレッスンでした。
学んだことを繰り返し思い出しながら、初心に戻って、またはじめていこうと思います。