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人参は嫌いです。

いい齢になってもやっぱり人参が嫌いです。カロテンやカリウム、食物繊維の摂取は他の野菜がいくらでもありますので、苦手なもののひとつくらい食べなくたってぜんぜんいいのです。
もちろんこれは極限られた人しか知らない私の「人参が嫌いって…子どもか!」なところ。ま、大声で人に言うことでもないですし、「人参だけが」嫌いなので別に困ることもありません。気にも留めません。買いもしません。人参の存在自体すべてスルー(無視)の食生活を送っています。

それなのに、まさか人参ジュースの商品デザインの声がかかるとは思ってもみませんでした。

数年前の最初の打ち合わせでは、「うっ…人参…!」と心の中で叫びながら、眉間にしわを寄せたのがバレないように、はじめての試飲をしました。

「…あれ…おいしい。人参臭くない。なんでですか?」
「人参そのもののうまさと、製法が違います」
「デザイン、引き受けます」

私の口からこぼれた返事は速攻でした。
だって、おいしいものは、おいしいんだもん。

この「にんじんジュース」の開発をきっかけにして、園山農園のおいしい野菜とも次々と出会い、私の食いしん坊生活はいっそう深く、広くなりました(おかげで家庭菜園を頑張る必要がなくなり、花木を中心とした薮庭にする余裕が生まれました)。

この春には、柔らかな草に埋もれてしっかりと育つ人参に、私自身も埋もれてみたり。「この畑に生まれ育つ人参は、さぞ気持ちがいいだろうな」…と、素直に納得がいきました。

自分自身の感覚に素直に従って、触れること、味わうこと、聞こえること、しっかりと自分で感じながら自分の手で作ってゆこう。
嫌いな人参があらためて気づかせてくれた、私のデザインの根っこです。

〈にんじんジュース〉は、そのやま農園HPでもお買い求めいただけます。

県内外の取り扱い店舗も増えているようですので、HPよりご確認ください。
鹿児島にお住まいの方、観光のご予定の方は、農園レストラン〈森のかぞく〉もおすすめです。