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胡蝶蘭の憂鬱

お祝いに胡蝶蘭の鉢をいただいて喜ぶ人は、いったいどれくらいいるのでしょう?
大きな会社のお祝い事とか、オープン記念とかでずらりと並ぶ胡蝶蘭は、昔の開店祝いに並べられていた造花で出来た花輪の代わりみたいに、気軽なものになってしまったのでしょうか?

お値段もそれなりに高価で、育てるにも手間のかかった胡蝶蘭。
生きている花。
お祝いの一時期を終えた後はどうなるんだろう…と、いつも気になって仕方がありません。

先日、お仕事関係の打ち上げ(とはいえ、気の置けない女5人で美味しいものをいただきに、という会)で伺った先は、移転オープンしたばかりの割烹料理のお店でした。
ご贔屓の方も多く、ご接待などにも喜ばれる気さくな雰囲気で、楽しみに足を運んだのです。

そして、やっぱり、入り口からずらりと並んだ胡蝶蘭が私たちを出迎えてくれました。ざっと20鉢。
(これでも差し上げて減ったのよ、とのこと…!)
しかもどれも立派で、本数の入った大きなものばかり。

食事やお酒を楽しんだ後、最後のお客だった私たちが、女性だからということもあったのでしょう。
おかみさんから「ひと鉢、持って帰って!」と、ちょっと切なる声がかかりました。

枯れ果てて目につかないよう隅に追いやられてゆく、この先の姿を思うと、つい「いちばん小さいのなら…」と言ってしまい、「はい! これがいちばん小さくて可愛いから! ありがとう!」と、速攻で手渡されました。
確かに「ミニ胡蝶蘭」なんですけど…見たことがないくらい立派…。
日本酒でほろほろしながら、鉢を抱えて帰宅しました。


5本立ちの花数を数えてみたら、なんと78輪も!
この花が終わったら、一本ずつ株を分けて仕立て直して(小さなビニールのポットに植えられた株が、大きな鉢の中に詰めてあるだけなのです)、いくつか花がつくくらいの自然な姿の胡蝶蘭に戻してあげたいと思っています。

しおれる前にちょっと早めに花を摘んで、「ドライフラワーにしたら、ティッシュで作ったふわふわの花みたいにならないかしら…?」なんて。
早くこの仰々しい花が連なる茎を切り戻して、株を楽にさせてあげたいです。