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基本は一人旅のふたり

久しぶりにパスポートを持って飛んで行ってきました。行き先は台湾(台北)、鹿児島空港国際線からの直行便です。

台北の街中はあっさりとした東京といった空気感で、地図を片手にてくてくと、自然に足が進みます。
私、実は以前3回ほどお茶の研修や仕事で台湾に来ているのですが、貸し切りバスの移動でスケジュールが組まれており、途中で立ち寄った場所がはて、いったいどこにあったのか…。地図の上での位置関係を思い返すことすら出来ません。
やはり「旅は自分の足で歩かないと身につかない」のであります。

今回は先発隊で一人、台湾を自転車一周していた相方と駅の出口で待ち合せして、ベタな観光地の〈九份〉へ行ってみることにしました。
前もって調べたところ、どうやら人気の夕暮れ時から夜にかけて、往復するバスやツアーで大混雑、しかも滞在時間もすごく短いらしい。

「もういいかげん大人なんだから、ぎゅうぎゅうしたのは嫌だね」
「宿があるんじゃないかな?」
「混雑しないよう早めにバスで行って、泊まればいいよ」
「あるかなぁ…(ネットで探す)あった! この大人気ポイントのすぐ脇の筋! 騒々しいかもしれないけどいいよね?」

潜り込める宿を確保してしまえば、もう慌てることはないのです。
大賑わいの観光客を見下ろしながら、「もうそこが宿だからねぇ、飲もう飲もう!」と台湾ビールで乾杯。「みなさん帰りが大変ねぇ、ほほほ」と勝手に優越感に浸る贅沢なひとときでした。

撮影スポットとして人気の場所は、芋の子を洗うような大混雑で、提灯の並ぶ景色よりも、すし詰めの人を撮影するようなものでした。

そして、一旦宿に戻ると、たった一本筋が違うだけで、この素敵な雰囲気に一変します。

私よりも九份に来たがっていた相方です。ご機嫌。

部屋の窓からごった返す通りを見下ろし、シャワーでさっぱりしてから、再びさっきの場所へ戻ってみました。
予想通り、街中からのツアーバスを利用したり、帰りの路線バスを気にする人たちは一斉に消え去り、現地宿泊を決め込んだ旅行者だけがのんびり散策する時間がやってきていたのでした。
観光客が消え去った夜はしんと静まり返り、ようやくこの小さな町の息づかいが聞こえてくるようでした。

時間帯を変えてなんと激坂激階段を4周も歩き回ったので、ビールは回るし、ふくらはぎはぱっつぱつになるし、宿での私は撃沈。
一方の相方はアメリカの国立公園だの、アラスカだの、世界のあちこちを足で旅する冒険家だった…。
そうか、それで二人で海外を旅することが出来ず(一緒に行く気も起こらないほど激しいところに行くのが好きな相方です)、いつも各自で一人旅をするのがあたり前になったんだっけ。

二人とも「安上がりな旅を面白がれる」という点が似ているので、台湾の旅は歩み寄ってみようと思います。
(つづく)