旅に出るといつも気づかされる私の能力。それは「食べ物を絶対に外さない」ということ。
初めて歩く町の雑踏の中、歩き疲れ、お腹をすかせた私は、目からビームを出しながら美味しい店にロックオン!することが出来るのです。
お店の人がてきぱきと動いていること、声が明るくて大きいこと、食べているお客さんが死んだ目をしていないこと、水回りがベトベトしていないこと。
なんだか空気がよく通っているように感じるお店。
こんなところは間違いなくおいしいです。
日曜日の瑞芳Ruìfāng駅前は買い出しの人で賑わう、生活感溢れたいい感じの町でした。人気の観光名所となった九份Jiǔfènへは、この駅前からのバスが安くて便利だということで、窮屈で時間も限られた台北からの高額観光ツアーには目もくれず自力でやってきたのです。もちろん初めての町です。
私は一時期はまって中国語を勉強していたことがあり、一人中国旅行(実家の仏壇の前にある黒電話から北京のホテルを予約し、そのまま飛び立ったりとか…)で鍛えられ、旅行程度の会話や、料理に鼻が利くということもあるかもしれません。
麺やトッピングの肉の種類を確認し、「お、餃子がある!しかも珍しく焼餃子!(普通は茹でた餃子)青菜もいいね」と組み合わせると、大変に日本人的味覚にはバランスが良いわけです。
私のチョイスには相方が大喜びしてくれました。どうも先に一人で自転車旅をしていた間、はずればかりを引いていたらしい…。相方がメニューを自分で選んでいるのを眺めていると、無意識だとは思うのですが、見事に「それはかなり未知の味だと思うよ…」というのを選んでいたりして、気の毒にも思えてきました。
豚二頭ぶんを売っている肉屋さん。なんとも新鮮な肉の断面。内蔵はもちろん網脂まで売っています。
なかなか日本でこんな売り方をしてくれる店はなく、もし近所にあったら、間違いなく私の料理のレパートリーはもっとシンプルかつ美味しくなるのに、と思わずにはいられません。
道路から見たらひたすら作っているお店です。持ち帰る人が多く見られましたが「ここで食べたいです〜」と言うと「奥から2階に上がって〜」と促され、そこでは地元の人がうじゃうじゃと食べていたりします。
この日はお昼時をわざと外したので、席は埋まっていましたが急かされることもなく、ゆっくり味わうことが出来ました。
すぐ近くには小籠包の有名店〈鼎泰豐 Din Tai Fung〉がありますが、私は庶民派なのでそんなに皮が薄くなくてもいいのです。
いやむしろ、皮を楽しみましょうよ(笑)
小籠包はもちろん、蝦焼売もおいしかった!
皮がしっかりしているのでお腹いっぱい!
あと、この緑のボコボコしたの、果物で〈釈迦頭〉と呼ばれています。
夜市からの通り道の果物屋で目にした相方が「あの変なの何?」と聞いてきたのです。私はまったく気づいていなかったので大喜び。
果物屋のおじちゃんと「いつ食べる?」「明日食べる」「じゃこれがいいよ」と相談して買いました。
一口食べた瞬間の相方…驚喜。手と口が止まらない人間を久しぶりに見ました。よかったねぇ(笑)
台湾名物のマンゴーなどなくたって、もはや悲しくもありません。
冬だからこそ売っていた釈迦頭、日本ではこんなに遠慮なく食べることが出来ない、貴重で美味しい(ついでに言うと、買えたとしてもめちゃめちゃ高い!)果物なのです。一個500円!わーい!
なんにせよ、2人分の胃袋で旅をするということは、頼めるメニューの選択肢も2倍になるということが分かり、今更ながら二人旅もいいものだと思ったのでした。
(つづく)