がさがさと落ち葉を踏みしめながら、私はお仕事にやってきました。
その場所はまだ秘密だけれど、一緒に組んでもらうライターさんと「好きなことを突き詰めながら年齢を重ねるって、悪くないですね」とにっこりしちゃうくらい、素敵なお仕事の第一歩がはじまりました。
まさかの「樹木園の広報デザインのお仕事」が…!
しかも、かなり通好みな植栽です。
鬱蒼としていて、鹿児島にありがちな公園ではありません。
木々の間を歩いてゆくと、ふと、小さな椿が散り敷く場所に辿り着きました。
手に乗せてみると、こんなに愛らしい椿、「ワーリンガーベル」です。
実は数年前、私も薮庭に小さなワーリンガーベルの苗木を植えたのですが、やたらと気の利く相方さんが、草払いで刈り倒して下さったという、しょんぼりな思い出の椿です。
しっかり育ったらこうなるはずだったのね(笑)
美しい天使の梯子をかけているのは、樹木の手入れをしている方の落ち葉焚きの煙。
スモークの香りも心地よく、どんどん足が進みます。
蕊(しべ)が一本長いから「数奇屋」かな。
永遠の美女椿です。
薮椿も多く見受けられましたが、ここの薮たちは、どれも色が深く、姿も小ぶりであったり細長かったりと、「選ばれた薮椿」のような気配です。
いや、もしかしたら赤花系の侘助、「永楽」あたりなのか…?
「数奇屋」のような「太郎冠者」のような…。
格別に葉が細長い、あなたはだぁれ…?
正確な名前を突き止めたい気がしますが、名にこだわりすぎる行為そのものが無粋であるらしく、美しいものはただあるがままに美しいと思うに留めるが、よし。
(とはいえ、知りたい…笑)
「岩根絞」は間違いなく蕾の方が好きかも(笑)
お茶席だったらこの辺りまでかな…と、あれこれとほころび加減を見定め中。
こちらは「夢」と名付けられるほどの儚いお姿。
なのに、咲き切ってしまうと、とても興ざめな椿であることを初めて知りました。
ここまで開くと「覚めた夢」、というところでしょうか。
「外して(ちぎって)あげた方が美しいよね」なんて、俄に千利休ごっこを楽しみつつ。
図鑑やネットに並ぶ写真を見ることは、とても楽しいし、一通りの勉強にはなるのですが、何より大切なのは「実物を、自分の目で、見ること」です。
大きさの加減も、蕾の開く段階も、散り敷いた姿までもが美しいのか、単に汚れて散らかるだけなのか…。
天使の梯子の番人曰く、1,000本くらい椿があるんじゃないかな? とのこと。
デザインの仕事は仕事として、個人的に、ここの植栽リストを作りたい。うずうず。
季節の折に触れて、形として残してゆくことが出来ないものだろうかと、つい仕事を忘れて美しい椿たちに惹かれてしまうのでした。