私は仕事や家のことで自分の中がいっぱいになると、少しだけ藪庭を歩くことにしています。
手のかかった美しい庭ではなく、自然とともにそこにあるような、でもよくよく見ると素敵な植物がさり気なく潜んでいるような…そんな「藪のような庭」が欲しくて、常に全体を見回しながら歩いては、ハサミやノコギリでパチパチしています。
主役はさまざまな緑。
樹形や葉の大きさ、形、落葉のタイミング、葉っぱからの香り(カラメルやシナモンなど、素晴らしい香りを放つ木々があります)。
越してきた頃に自分で植えた木が次々と10メートルを超えてきたので、今度の冬には信頼できる造園屋さんにお願いしててっぺんを止めたり、枝を抜いて少し整えてもらいます。さりげなく自然に見えるように手を入れる。
ここが大事。
ほったらかしではただの「藪」で、「藪庭」にはならないのです。
花を追わずに葉を追うこと。
花を咲かせすぎないこと。
これも、私の決めた「藪庭」のルールです。
それでも春から初夏にかけては、たくさんの花々が咲いて、目を休ませてくれます。
毎年咲いてくれるホタルブクロや芍薬など、日本でおなじみの植物は虫も病気もなく、手がかかりません。
一方で、手がかかると言われがちなばらですが、自分でも多くの品種をよく育てていると驚きます。
ポリアンサ「ペルルドール Perle d’Or」
姿形の美しさ、本来の香りの素晴らしさは、育てている人にしか味わえない喜び。
お花屋さんに並ぶばらでは体験することが出来ません。
ダマスク「レダ Léda」
ブルボン「マダムピエールオジェ Mme.Pierre Oger」
フロリバンダ「アストリッド グレーフィン フォン ハルデンベルグ Astrid Grafin von Hardenberg」
クライミング「レイニーブルーRainy Blue」
ブルボン「バリエガタ ディ ボローニャ Variegata di Bologna」
どれものびのびと枝葉や根を伸ばし、そこへ加えて私が肥料を極力控えて地力任せにしてしまうので、花をつけすぎないばらたちです。
西洋趣味の家を建て、むせ返るように咲き乱れるようなばらの景色は、私にとっては、いつまでもお姫様に憧れる女の子趣味にしか思えません。なので、そういうのがお好きな方から見れば、私のばらは貧相な咲かせ方かもしれません。
その代わり、花が少ないぶん散った後も見苦しくないし、花がらの片付けも手早くできますので(ばらの管理は手間と体力がいります)、これから何歳になっても無理することなく、ばらと付き合える関係かなと思っています。
こうしてたくさんの写真を並べてみると、色のコーディネートが重要だということが自分でもわかります。
あと、思い切って大きな花を入れるとか、くっきり強い色を置いてみるとか。
白多め、紫寄りのピンクや赤、紫もニュアンスを変えながら、水彩絵の具を重ねるように変えてゆく。
背景が豊かな緑でないと、出来ない贅沢です。
さて、最後に。
今年は紫の矢車草の種を取り寄せて、自分で苗を作ったのですが、いくつか面白い模様が出てきて楽しいことになっています。種の写真は紫の表示だったのですが、なんと素敵なトーンなのでしょう!
梅雨をやり過ごして、種が取れたら楽しそうだけど…どうでしょう?