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雨色のお仕事

日本は梅雨になりました。
雨の色、自然の色が大好きな私にとって、この季節は一番心安らぐ大好きな季節なのです。

湿気はひどいし、止むことのない豪雨には不安が大きくなることもあるけれど、重たげな窓の外の緑と青の重なりを室内から眺めるのは、人間が感じられる贅沢なひとときなのかもしれません。

お仕事もそんな雨色のデザインで、「桂花園」夏バージョンのご案内を作らせていただきました。

完成品のお渡しが済んでから、雨の中ひとり「桂花園」を歩きました。

私の周りには美しいもので溢れている…。
なんとありがたいことか。

この気持を忘れることなく、何があっても、ずっと作り続けていこうと思います。

さて、ぐんぐん大きく育つ我が薮庭ですが、小さな植木鉢で連れてきた紫陽花たちは、想像を遥かに超えて立派な「壁のような景色」になっています。
このまま放置しておくとどんどん花が大きくなり、私的には野暮ったいと言いますか…雰囲気がよろしくない状態になるので、去年あたりから惜しげもなく早めに切り始めることにしています。

どのみち満開を過ぎたらすべて切り払って、藪庭の隅に積み重ねられて土に還すのです。
梅雨明けの頃にやってくるその大変な作業を思えば、早めにきれいな枝から抜いてゆくほうが、何倍も楽しく、差し上げる人に喜ばれる作業になることに気づきました。

今回は長めに枝を切り、下葉を落として水揚げして、大好きなお花屋さんへどっさりおすそ分けすることにしました。

水揚げ方法も自分なりに勉強してみました。

この世界的にも長いステイホームのおかげで、世界のあちこちのフローリストさんが花の扱いをYou Tubeで公開してくれていて、自宅で花を楽しむことを応援してくれています。

プロにお願いする時はもちろんお任せして、日々の自分周りのことは、ちょちょっと自分の手で出来るようになっていたほうが、心が豊かになると思うんです。

「これはホントにプロじゃなきゃ出来ない!」という違いも、はっきり自覚できますしね。

あくまでもこれは、素人の手習い。

大きな生け込みや、野の花のようなアレンジがお得意なお花屋さんなので、お邪魔でなければ使ってくださいと。
茎の長さや品種で分けて、なるべく手渡してからご迷惑にならないように。

2mを超えるヤマアジサイの壁から、たくさんの長い花が収穫できました。
スイカズラが一本絡んでいたので、それもあえて外さずに。

細めの茎に、紫がかった刷毛目の葉っぱの雰囲気がなんとも言えず、引っ越してきたときから生い茂っていた大好きな紫陽花のひとつです。

満開になるとバスケットボールくらいになる紫陽花、小さいうちに早めに切ることでグラデーション(色の変化)も楽しめるし、お役に立つのではないかしら。

ほらね、なんて素敵な出荷風景(笑)
庭の掃除を兼ねているなんて思えない、いい雰囲気です。

そしてたくさん切れば切るほど、翌年の枝がきれいに伸びて、いい商品が収穫できるのですよ(はて、私は何屋なんでしょう…笑)。

最後の一輪は、名もなき紫陽花。
柔らかく揺れる茎の先で、雨の中、重たげにうつむいて咲いています。

これは我が家のガラスの花瓶に挿しましょう。

雨の季節ならではの、私の宝物探しでした。