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引きこもりの本領

私は長くデザインの仕事を生業にしてきましたが、どうも「デザイン=おしゃれな見た目にすること」と思われ続けているものが多いと感じます。

依頼者の思いを理解し、商品を熟知し、その魅力に共感して形にすることがデザインのお仕事なのです。
付け加えて言えば、そこで生まれたデザインが商品やサービスの背中を押して、うんと売れてもらわなきゃデザインの仕事としては不合格。
なので、私はお仕事が一区切りしてからも「で、数字、どうですか?」と、お生な質問をしたりします。仕事は結果が全てです。売れてくれなきゃ、次のお仕事のご依頼もありませんもの(笑)

そんな生々しいことばかり考えながら私は仕事をしているので、なるべく仕事以外のことで気持ちを切り替えることが、とても重要になってきます。
仕事のことを忘れるくらい集中できることや、楽しいと思えることがいくつもあったほうが、ぐるっと回って仕事の助けにもなっているのだと感じます。

特に、音楽をやり始めたのは、大きな心の支えになっています。

目の前の楽譜に書いてある音の粒を丁寧にたどれば、曲が出てくることの驚き。
体調や気持ちが整っていると心地よい音が現れてくれるので、自身のコンディションを保つこともより意識するようになりました。

今年はコンサートもキャンセルだったり、練習もままならない日が続きます。
それでも、一人で学べることや準備できることはいくらでもあって、来るべき時のために仲間と連絡を取り合いながらの日々が続きます。

秋の始まりくらいには何か出来るのかな。
そんな気配が出てきたので、ご依頼先を訪ねて音の確認をしたり、選曲して楽譜を揃えたりとにわかに準備が忙しくなってきました。

以前のようにちょこちょこ集まっての練習は難しくなっていますが、会えた時の集中力と喜びは一層大きく、みんなでバキバキと曲を組み立てていける感じです。

まだしばらくは堂々とステイホームを掲げて、仕事も、それ以外のことでも、私の引きこもりの本領を発揮させていただこうと思います。