季節に応じて変えてゆくデザイン。
その一方で「変わらないデザイン」もあります。
「セイカスポーツセンター」さんと「島津薩摩切子」さんは、もう長く同じデザインを採用したまま増刷を繰り返しています。
その都度少し変更するのは、企業沿革や商品情報くらいで、レイアウトも紙質も最初に作った時と同じまま。飽きられることなく使っていただけていることに安堵します。
どちらもいわゆる「いい紙」を使っています。
本紙色校(本番の紙と印刷機でのテスト)を行なって、どの紙で印刷するかまで比較して選ばれた紙です。
一番最初にご提案した時には「高いな」と思われたかもしれません。ただ、その「高い」の基準がその企業の品質と見合わないレベルの紙や印刷だとしたら、それこそもったいないことだと思うのです。
人の指先は私たちが思っているよりも敏感です。
指先で触れる紙が気持ちいい。
吸いつくようになめらかだ。
ページをめくる時にすっとめくれる。
光が変に反射せずに目が疲れない。
いつまでもゆっくりと見ていられるというのも「いい紙」の物言わぬ魅力です。
「パンフレットの方にはいい紙を使うんですけど、しょっちゅう情報が変わる差し込みは節約するために自作してます(笑)」
先日の納品の際に、担当の方が明るくそうおっしゃっていました。
とはいえ、その別に作られた「ふつうの紙」もとても整ったていねいな仕上がりで、私の方こそこの品質を保つ努力をしなければと思わされました。
いざという時に勝負できるデザインと紙。
印刷会社の技術者さんたちにしっかり支えてもらいながら(いやもうほんとに、印刷現場の力がすごいんです!)、紙を媒体としたアナログの知識、データを組むときのデザイン力、どちらも磨き続けなければならないとますます思い知らされます。