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咲いた咲いた。

あれ、春が来ましたね、と思ったらあっという間に桜が咲き始め、もう桜吹雪。
桜は決して走っているわけではないのでしょうけれど、忙しない人間が油断している間に、季節は移ろってゆきます。

我が藪庭では、冬の間に剪定をした枝先に一気に新緑が芽吹き、足元からは次々と春が顔を出します。

一番乗りは柔らかいリップの、小さな水仙たちです。
私は好んで白や、薄めの黄色い水仙だけを選んでいます。

冬の間に穴を掘っては、せっせと埋め込んでいた球根が次々と伸び上がってきて、花開いた瞬間「こんなのを植えてたっけ!」と、どんぐりを埋めたことを忘れたリスのようにいちいち驚いています。
埋めたチューリップは100球ほど。
広い敷地の緑の中にランダムに蒔いてしまえば、それほど圧迫感があるわけでもなく、お気に入りの紫のトーン。

ただ、今回はチューリップを愛する仲間から「100球頼んじゃったから20球もらって」「試しに買ったけど多すぎるから」と、お裾分けを沢山いただき、強い色が飛び込んできました。
咲いた様子がこちら(笑)

「さいたー、さいたー、チューリップーのーはーなーがー」
思わず歌ってしまいたくなるような、絵に描いたような元気な色です。

悪くないです…けどね(笑)
ごめんなさいね、私の藪庭の景色には似合わないのでと、一気に収穫してしまいました。
合わないものは、合わないのです。

落ち着いた場所で愛でましょう。
こうするとまぁまぁ、いい感じです。

他のチューリップは、互いを引き立て合うような色を意識して植えていましたから、束ねてみるとこんな感じにまとまってくれます。

咲き残っていたクリスマスローズやヴィオラを混ぜても合います。
強い黄色は全体のトーンを乱すので、ユリ咲きのものを一輪だけにしておきましょう。

春の花が咲く間は、こうしてぱぱっと束ねて、すぐに手土産にしてしまいます。
誰かを笑顔にしてくれる最高のお裾分けになります。

よく「咲き終わってから花がらを切る」と言いますが、私はある時から「咲いたらすぐに切る」ようになりました。枯れた花を切るよりも、いきいきとした花を切るほうがだんぜん気分が良いからです。
たくさんの散った花がらを切るのは、あまり楽しい気分にはなれませんよね。

こうして惜しげもなく花を切って束ねてゆく庭での時間は、室内に引きこもって仕事ばかりしがちな私のささやかな春の楽しみなのです。