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本番はある日、突然に。

演奏をするのは一瞬で、流れ出た音はすぐに消えてなくなってしまう。
でも、誰か一人でも心の奥に残ってくれるなら。

自分自身の基本的な練習や音楽について学ぶ時間に加えて、仲間との選曲や練習(合わせ)や、スケジュール調整など。「人前で演奏する」にはこんなにもやっておくべき事があるのだよ、と、あらためて身に染みたお祝いの席でのコンサートでした。

コンサートの存在をたまたま知ったのは、本番の2週間ほど前。
お祝いされる側の方から「コンサートが何も決まっていないみたいです」と耳打ちされ、偶然にもちょうど近くでトリオの練習日と重なっていたので、「強引な突っ込み方で、こういうのはとてもいやらしいな…」と思いながら、放り込ませていただきました。
私も日頃からお世話になっている方でしたので、「お祝いの幕開けコンサートなのに? 決まってないんですか?」と軽く絶句しつつ。

結果、久々に心地いい場所で、久しぶりにお会いする方々もいらして、指定時間30分ぴったりのコンサートをお届けする事が出来ました。

美術やデザインなどの「あとに残るもの」を作る事を仕事にしている私。音楽へと手を伸ばせたことで、新しい気づきや出会いが本業のデザインにも還元されていると実感します。
その仕事、表現を、人前に出す一瞬のために、どれだけ一人でこつこつと手を動かし、静かに重ねてゆけるかどうか。
細心の注意を払ってぬかりなく準備し、当日は心を開いて笑って自分自身が楽しめるかどうか。
楽しんでいただける時間と空間を生み出すことが出来るか。
何事も頂いた機会をとにかく大切に、重ねてゆく事だと思っています。

こともなげに集まり、瞬時に心から笑い合って、落ち着いて個性を重ねてくれる仲間がいる事のありがたさ。大人どうしの心地良さみたいなもの。この感覚に気づけた喜びはほんとうに大きい。

9月16日(日)は、昨年もお邪魔した長島美術館での演奏です。
実はそのためにせっせと準備していたからこその、今回の飛び込み可能案件でした。レパートリー(ネタ?)もだいぶ増えて来ており、その場の空気やテーマに合わせてのプログラムづくりが素早くなりました。
美術館ではねちねちと、細かい音符が折り重なるような、お祭り気分ではないマイナー系の曲で攻めたいと思います(笑)