世界中で、目には見えない春の嵐が吹き荒れています。
2011年も同じ3月でした。
それから自然災害は各地で止むことなく、今回の疫病の蔓延に脅かされ、人間は地球の上に乗っかっているだけの、小さくて弱い生き物でしかないことを思い知らされます。
限りある生命を生きてゆく日々が有難いことだと、静かに手を合わせる春です。
そんな人間の様子に関係なく、我が藪庭の春はいつもと変わりなく…いえ、いつも以上に美しく春を喜んでいるようです。
毎年恒例の早生品種の桃が、まさに桃色の花を枝にたくさん並べて咲いています。
苗を植えて10年、ついにプルーンが咲きました。
同時期に植えた桃は、諺の通りに3年で実り始めましたが、まさかのプルーンは10年です。あまり鹿児島で植えている人の話を聞かないので、こうして咲いてくれただけでも嬉しい。
そして、ころんと丸い花の愛らしいこと…!
暖地性桜桃(サクランボ)も植えています。
こちらは4〜5年目ですが、ついに咲きました。
実は、私の仕事部屋からよく見える、お隣の人の土地に植えちゃったのです(笑)
田舎あるあるで、土地の管理(草払いなど)ができない方も多く、私と相方がざっとではありますが面倒を見ています。なので、代わりと言ってはなんですが、お花見できる果樹を植えさせてもらいました。
すくすく育って既に手が届かないため、サクランボが実ったとしてもほとんどが野鳥のおやつになりそうです。
まぁ、それはそれで、いい景色になるのではないかと思っています。
ひと枝手折って香りを嗅いでみたら、なんと、キルシュヴァッサーの香りが!
染井吉野などの桜ではあまり香りを感じたことがないのですが、実のつく品種だからなのか、ちゃんと美味しそうな香りがするのですね。
初めて気づきました。
鉢にも少し、パンジーやヴィオラを入れています。
ごてごてとした寄植えではなく、ひと鉢に一株が私の好み。
尊敬する(真面目で頑固な!)生産者さんが手塩にかけて育苗されているので、春からが実は本領発揮の季節です。
「團十郎」と名付けられたパンジー。
「笹色紅」の魅惑的なブルーにも惹かれています。
キッチンの窓辺には蘭の鉢がいくつか。
このミニ胡蝶蘭は「お願いだから持っていって!」と、ちょっと無理やり持たされたようなものなのですが、せっかくなので素人なりに育てています。
これでようやく3シーズン目。
売っているようなゴージャスな雰囲気ではなく、丸い蕾が順番に小さくポン!と咲いてゆくのは、なかなか嬉しいものです。
ひと枝に11個も蕾をつけてくれています。
やはり白い花がいちばん好き。
今日はお隣のお母さんから、木灰でアク抜きをしたという蕨をいただきました。
私からのお礼は、冒頭の桃の枝をひとつかみ。
お互いにとっかえっこして、しばし日向に腰掛けてお喋りして、お隣の畑を突っ切って自宅に戻ってきました。(右奥の大きな木の向こうが私の家です)
何があっても、自分の暮らしを、身の回りを豊かにしておくこと。
それはお金でもなく、モノでもなく、美しいものがこんなにあるのだと感謝して暮らすことではないかと思っています。
そして、そんな思いを静かに心に持っている人が、近くに、遠くに、暮らしてくれていることが、きっと私の心を支えてくれているのです。
この嵐が過ぎてくれるまで、なるべく外出は控えて家にいましょう。
はい、いつものように変わりなく、私はそうしようと思います。